弾氏とbewaad氏の議論が面白いwww。
まず、弾氏の論点を私なりに解釈すると、以下の通り。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50650697.html
日本社会は、若者の生み出した富を吸い上げ、それを老人・子供・障害者・弱者に再分配してきた。
そのシステムがうまく機能してきたのは、若者の人口が多かったことと、若者がやがて老人になったときに、このシステムの受益者となることが保障されてきたからであった。
これは、「終身雇用の会社」と「強固で安定した家族」によって実現されてきた。
しかし、これらの前提が崩れてきている。
このため、若者は、あいかわらず富を吸い上げられ続けているのにもかかわらず、もはや、終身雇用も家族による老後の保障もないので、老人になったときに、システムの受益者となることはできない。
つまり、今までは、若いときに社会に預金しておいて、年をとってから、その貯金を受け取るシステムだったのに、いまは、あいかわらず、若いときに、社会に預金をさせられるのに、老人になったときに、その預金を受け取れる見込みがなくなってしまっている、理不尽な状況になっているということだ。
従って、若者の負担が現状のままなのは、アンフェアであり、若者の負担を減らす方向に、富の再配分システムを調整しなければならない。
というようなもの。
で、そのための手段の一つとして、従来から、弾氏は、「国民の負担を増やすのなら、若者の負担を増やさないような国民負担方式(たとえば相続税)に。」
と主張してきたわけです。
それは、弾氏の過去ログを見れば、明らかでしょう。
もちろん、弾氏の主張のキモは、あくまでも「前提が崩れたんだから、若者の負担は理不尽に大きすぎる」というものであり、「とにかく大増税しろ」というのが弾氏の主張ではありません。
弾氏にしてみても、増税する必要がなければ、増税しないにこしたことはないと思っているでしょうし、全体として増税すべきかどうかなんて、彼の論点ではありません。
というか、そもそも弾氏は、国家財政そのものではなく、若者と老人の負担のバランスの悪さを解消することを論じているのです。
そして、正常な読解力のある人間なら、弾氏の記事から読み取れるのは、その負担というのは、単に税の話に限ったことでもなんでもなく、むしろ、あくまで手段の一つとして、税システムにおいても、増やすなら相続税などの若者に負担をかけないものを増やすべきだ、というスタンスでしょう。
これに対する、bwaad氏の反論を、一般人の日常語で(笑)要約すると、
http://bewaad.com/20061008.html#p01
たしかに国の財政は大きな借金を背負っているけど、長い時間(100年とかのスケールの)をかけて、ゆっくり少しずつ借金を返せば、毎年ちょっとずつしか返さなくて済むから、一年あたりに直すと、ほんの少ししか増税しなくても済むはずだよ。
そもそも、増税という形で国民負担率を上げなくても、政策で名目GDPを押し上げるように誘導すれば、国民負担率は上昇するんだから、増税なんかよりそっちの方が、いいよ。
そうすれば、結局、国民負担率は、どの時代もたいして違わないんだから、過去の世代の作った借金を若者世代が負担していて不公平だとするのは、上の世代に対する不当な非難だよ。
むしろ、不公平というのなら、少数派の金持ちを、多数派の貧乏人が搾取している構造こそが、不公平だよ。
それと、「政府の借金は、政府がだらしなかったせいだ」という見方は、間違っているよ。
それは、政策の失敗と言うより、人口変動などの要因によってもたらされたものだし、そもそも、借金無しの方針をとっていれば、いまの日本の豊かさはなかったはずだよ。
借金を作ったのが、老人たちの世代だという理解の下、老人たちに狙いを絞って大増税を課せば、消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化し、若者世代も多大なる悪影響をこうむることになるよ。
というものです。
まずはじめに、誤解の無いように前置きすると、オイラの趣味的には、bewaad氏の主張は、コンテンツとして面白いし、好きです。こういう面白い記事は、どんどん書いて欲しいと思います。
また、弾氏の記事への反論としてではなく、文脈を無視して、それ自体を見れば、啓蒙にもなってると思いますよ。
ただ、一方で、議論として見ると、bewaad氏の記事は、反論になってませんね。
まず第一に、
弾氏の論点は、
「終身雇用の会社」と「強固で安定した家族」という「見えない社会保障」の崩れによって生じた若者と老人の負担のバランスの悪さをどう解消するか
にあるのに、bewaad氏は、どうやって円滑に無理なく国民から税を徴収し、無理なく国家財政の借金を返済するか、という、いわば徴税と財務のテクニック論の話を延々と繰り広げる。
しかし、いくら円滑に税金を徴収して国の借金を返済したところで、弾氏が問題点として掲げている「見えない社会保障」の崩れによる若者と老人の負担のバランスの悪さの解消にはつながらない。
明らかに見当外れの議論を展開している。
第二に、bewaad氏は、
http://bewaad.com/20061008.html#p01
老人たちに狙いを絞って大増税を課せば、消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化し、若者世代も多大なる悪影響をこうむることになります。
と言っていますが、仮に、弾氏の主張通り、相続税を増税したとしたら、本当に「消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化」するんでしょうか?
むしろ、相続税が上がると、老人たちは、自分の財産を、
(1)生前贈与する。
(2)自分で使ってしまう。
のどちらか、あるいは、両方をするんじゃないですかね?
もし、(1)の生前贈与が増えるとなれば、より消費や投資(教育など)の意欲が旺盛な若い世代に渡る機会も増え、むしろ、全体としては消費はややプラスになったりしないですか?
いや、そこまでいかなくても、少なくとも、bewaad氏の言うように、「消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化」するようになるとは、とても思えない。
また、(2)についても、自分で使ってしまうとしたら、やはり消費は増えます。bewaad氏の言うように、「消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化」するようには、やはりならない。
こうしてみると、相続税増税したら、「消費が大幅に萎縮して景気が格段に悪化する」という主張をするのなら、その論拠を示すべきでしょう。議論するのであれば。
ちなみに、オイラ的には、議論の正しさなんかには、あまりこだわりがないので、別にbewaad氏が間違ったことを言っててもぜんぜん気にしません。コンテンツとして面白いのであれば、見当違いの反論でも、どんどんやって欲しいと思います。
もちろん、オイラ的には 、「年寄りのせいで俺たちは苦労しているうううう!」という若者の被害妄想は、とても面白いので、その妄想を煽るオナニーネタは、気が向いたら今後もまたやるかもしれません。
最後に、ちょっとだけマジレスすると、老人たちは、「現代の若者はひきこもりニートで拝金主義者のホリエモンで日本人の美徳がなくて。。。」と被害妄想をするし、若者は「団塊の世代のような無能な奴らが。。。だから有能な若者が正当な地位を報酬を得て無くてうんたらかんたらごたくごたく。。。」という被害妄想をするけど、そんなふうに、「誰が悪い」という議論をいくらしても、議論としては、らちがあかなくって、議論をするなら、「誰が悪いかはともかく、とにかく現状こうなっているのだから、それをふまえてどういう方針を打ち出し、具体的にどうすべきか?」という方向の議論をしないと、遊びとしてはともかく、議論としては不毛だとは、ちょっとは思います。
でも、もちろん、オイラ的には、議論なんかする気もないし、正しい結論なんか導き出すつもりもないので、平気で、ろくでもない被害妄想を煽りまくるような、エログロコンテンツを今後も上映していきますけどね。
議論は、したい人だけすればいい。
というわけで、今後も、みなさんは、世の中のために、「正しい議論」をして「正しい結論」を導き出してくださいね(ハート)。
分裂勘違い君より愛をこめて。