本物のプロフェッショナルというのは、とても有能で、頼りになる。
知識があり、スキルがあり、責任感があり、決断力があり、前向きで、建設的で、戦略的で、実用的で、結果を出す。
しかし、ただそれだけだ。
プロフェッショナルになるための努力をいくら積み重ねても、
「感動を生む仕事」ができるようになるとは限らない。
「感動を生む仕事」をする人というのは、
アマとプロを結んだ直線の延長線上にはない。
「感動を生む仕事」をする人というのは、
頭がいいとか、知識があるとか、センスがいいとか、責任感があるとか、
そういうことじゃないんだ。
そういう「感動を生む仕事をする人」にはいくつかのタイプがあるが、その一つのタイプの特徴を、以下に列挙してみた。
アマ |
プロ |
感動を生む仕事をする人 |
---|---|---|
1. 現状に甘える |
1. 人間的成長を求め続ける |
1. 人間と社会に対する容赦のない洞察を積み重ね、結果として人間的に成長する |
2. ぐちっぽい |
2. 自信と誇り |
2. 自信や誇りにとらわれず、現実をありのままに直視する |
3. 目標が漠然としている |
3. 常に明確な目標を指向 |
3. 目標よりも目的にこだわり、より本質的な目的とは何か?と問い直し続ける |
4. 自分が傷つく事は回避する |
4. 他人の幸せに役立つ喜び |
4. 人々の幸せとは何か?役立つとは何か?について洞察を重ね、より本質的なレベルでの幸せを追求する |
5. 経験に生きる |
5. 可能性に挑戦し続ける |
5. 目の前の可能性に安易に飛びつかず、より優先して挑戦すべき可能性を見極めて挑戦する |
6. 不信が先にある |
6. 思い信じ込むことができる |
6. それが仮説でしかないことを骨の髄まで自覚しながら、渾身の一撃を打ち込む |
7. 気まぐれ |
7. 自己訓練を習慣化 |
7. 生きる姿勢が優れているために、自然体の行動が、結果として高度な自己鍛錬になっている |
8. 時間の観念がない |
8. 時間を有効に習慣化 |
8. 無理のない自然体の行動が、結果として、高いレベルで最適化されている |
9. 失敗を恐れる |
9. 成功し続ける |
9. 単なる成功ではなく、成功の質にこだわる |
10. 享楽的資金優先 |
10. 自己投資を続ける |
10. 気の向くまま自然に行動しているが、結果として効率のよい自己投資になっている |
11. 途中で投げ出す |
11. 使命を持つ |
11. 使命に縛られずに、その時々で、最も意味のあることを成し遂げようとする |
12. できない言い訳が口に出る |
12. 出来る方法を考える |
12. そもそもの目的を問い直し、「出来る方法を考える」必要自体を無くしてしまう方法を考える |
13. 他人のシナリオが気になる |
13. 自分のシナリオを書く |
13. 大木の枝のように広がる、無数に分岐するシナリオが絡み合う森が、脳の中でダイナミックに組み変わりながら蠢いている |
「感動を生む仕事をする人」たちは、一人一人固有の宇宙を持っていて、その宇宙で仕事をする。
それは、我々の住んでいる宇宙とは異なる物理法則に支配された異次元空間で、
我々一般人の目から見ると、ときにそれは「狂気」に見える。
プロフェッショナルになる努力をいくら積み重ねても、「感動を生む仕事をする人」にはなれない。方向性が違うのだ。
「感動を生む仕事をする人」になるには、単なる努力ではなく、生き方のスタンスそのものを変えなければならない。
逆に、生き方のスタンスさえ確立してしまえば、もはや努力など必要がなくなる。あとは、自然体で行動するだけで、それが高度な自己鍛錬になり、効率の良い自己投資になり、最小のコストで最大の成果をもたらすようになる。
ちなみに、上の表で「本質」という言葉が何度も出てきましたが、本劇場の一番最初のエントリは、「本質」の本質についての考察となっております。
inspired by
宴の支度 (3) 小さな変化からすべては始まる。「プロ」と「アマ」の13の違い