このブログで知人のベンチャーの創業メンバーの募集記事を書いたところ、
合計37名の方にご応募いただいた。*1
その多くが、メールの文章から賢さが伝わってくるし、
若いエネルギーと向上心とハングリースピリッツにあふれているし、
経歴的にも学歴的にもけっこうな方々が含まれていた。
たとえば、単に学歴だけとっても、
東大の○○物理学の博士課程が一人。
東大の物理□□学の博士課程が一人。*2
京都大学の情報工学が一人。
含まれていたということだ。
どなたも若くて賢くてこれからぐんぐん上昇していくタイプだ。
読みこなしている技術書や扱っている技術から
そのレベルの高さが伺える方も。
プログラマとしても、プロジェクトリーダとしても、
システム開発のキャリアはばっちりだったり。
もちろん、学歴もキャリアも実力もないけど、
やる気は十分で、積極性と柔軟性と向上心がある若者たちから、
最初は年収300万でいいから、月給20万でいいから、
とりあえず仲間に入れてくれ、というメールもいただいた。
実際、これらの方々の中から、最終選考に3人が残り、
どうやら、その中の一人は、ほぼ話が決定したようだ。
控えめだけど、キャリアがあり、技術力が高く、知能が高く、柔軟で、
積極的で、若くてエネルギーがあり、頼りになる、
これからぐんぐん成長するタイプのエンジニア
だということだ。
まだ名前の知られていない小さなベンチャー会社が
これだけ良質な人材にリーチするには、
どれほどのお金と労力がかかるか、ご存じだろうか?
間違いなく数百万円はかかる。
いや、数百万円つぎこんでも、無理だろう。
単純に、人材エージェントにエンジニアを紹介してもらうと、
そのエンジニアの年収の3割をエージェントに払う必要がある。
年収800万円のエンジニアなら、240万円かかるわけだ。
しかし、実際には240万円さえ払えば、
簡単に望みのエンジニアを採用できるというようなことはない。
「若くて、生きが良くって、技術力が高く、協調性もあり、知能も高い
エンジニアを紹介してください」
ということを、もっと具体的な指標に言い換えて人材エージェントに頼んでみても、
たいていは、紹介してくれるひとは、ぜんぜんピンとこない人ばかりだ。
だから、今回そのベンチャー会社は、お金では買えないほどの
メリットを得られたことになる。
一方で、応募していただいた方は、普通に転職活動をするだけでは、
絶対に得られないような大きなチャンスを手にすることができたと思う。
今回、最終的に話が決まることになった方は、
NDA(守秘義務契約書)にサインした上で、
今回紹介させていただいたベンチャーのコアメンバーに
面会することになった。
このコアメンバーは、このIT業界で実績も実力も抜群の人たちだ。
それぞれが、過去にいくつものベンチャー会社を創業した経験があり、
この業界では今やほとんど伝説となったプロジェクトを中心に
なって立ち上げたり、現に今、この業界のまさに中心部分にいる人たちだ。
つまり、「現に結果を出している」人たちなわけだ。
まあ、会って話してみれば、ただ者でないことがすぐに分かる。
尋常じゃない頭のキレ方だ。
人脈もすごい。*3
かなり優秀なエンジニアであっても、
そういう人たちと仕事をするチャンスは、
そうそう得られるモノではない。
そして、優秀で柔軟で視野の広いエンジニアであれば、
彼らから多くのことを学び、短期間で大きく成長することができる。
そのエンジニアの指向しだいでは、CTOへと成長するか、
あるいはスターエンジニアとなるだろう。
エンジニアの技術力がこのようなハイレベルのビジネス能力と結合したとき、
そのエンジニアの技術力は、別次元へと飛翔する。
単に高度な技術から、実際に世の中を動かせる技術力へと脱皮する。
また、優秀なエンジニアが、彼らにその実力を認められれば、
彼らの強力な人脈ネットワークの中に取り込まれることになる。
これは、今回のベンチャーが成功しようが失敗しようが、
そんなことに関係なく、彼らにすばらしい未来が約束される
ということを意味する。
また、今回は話は決まらなかったけれども、
最初は安くていいから仲間に入れてくれ、
と売り込んできた若者たちの中には、
このベンチャーが実際にサービス展開をはじめ、
いろんな人手が必要になってきたら、声がかかる人もいるだろう。
その中から、このベンチャーの中で頭角を現し、
中核メンバーにのし上がっていく人もでるかもしれない。
要するに、何が言いたいのかというと、
まったく手前味噌で申し訳ないのだが、今回の募集記事は、
応募者と募集者の双方に大きな価値をもたらした可能性が高い
ということだ。
いや、単にそれに留まらない。
このような、ある種ゲリラ的な手法で、
有能でパワフルな若者を、
新しい産業を創出する場所へと導く流れをつくることが
できれば、日本社会の未来そのものを形作る萌芽と
なり得ないだろうか。
つまり、このささやかな成功を見た他の何百、何千という
ブロガーたちが、新しいビジネスを創造するとき、
今回私がやったのと同じような手法で、
自分のブログを使って強力な人材を得ることを、
当たり前のようにするようになれば、
日本社会に眠っていた価値創造能力が解放される
のではないだろうか。
ちょっと大風呂敷を広げすぎたので、
ここでいったんたたんで、
閑話休題。
ここで今回のこの募集記事が生み出した価値が、
このブログにアフィリエイトを貼りまくって
稼いだ場合と比較して、高いのか安いのかを考えてみる。
このブログは、現在85本くらいの記事が掲載されており、
トータルのアクセス数は314万ちょい。
記事1本あたり、3万7千ページビュー程度。
個人アフィリの相場は、1万pvでだいたい1000円ぐらいだそうなので、
記事1本あたり3700円稼げる計算になる。
ただ、アクセスはそれなりにあったのに削除してしまった記事のことも
考えると、だいたい記事1本あたり3万アクセス=3000円ぐらい稼げる
計算になる。
また、アフィリを貼れば、トータルでは31万4千円稼げたということになる。
さて、今回の募集記事で、最終的に年収800万円のエンジニアの
採用が決まったとしよう。
単純にそれを人材エージェントに頼んだ場合、240万円のコスト
がかかる。
しかも、募集側は240万円払っても得られないような
人材にリーチできているし、
応募側も通常の転職活動ではあり得ないようなチャンスに遭遇
できたことを考えると、240万円を超える価値は十分にあるだろう。
それに加え、今後このベンチャーが成長して行くにつれ、
多様な人手が必要になるので、
今回応募いただいた他の方が、このベンチャーの別の
フェーズで声がかかり、話が決まる可能性もある。
さらに言うなら、募集記事は、今後も何度も書くことができる。
そうすると、さらにもっと大きな価値を生み出すだろう。
そうすると、単純にこのブログに広告をベタベタ貼りまくって、
たかだか31万円の小銭を稼ぐのに比べて、はるかに割が
よいということがわかる。
え?募集記事がいかに大きな価値を生み出しても、
所詮無償労働であり、アフィリと違って現金収入が得られないだろうって?
たしかに、ごく短期的には直接の現金収入は得られない。
しかし、今回私がそのベンチャーに売った恩は、
かなり高い確率で返してもらえる。
それも、とても大きな利子を付けて。
この業界は、give & takeなところがあり、
ちゃんとしたビジネスモラルのある人は、恩は忘れない。
だから、とりあえず恩を売っておけば、
なんらかの形で、貸した恩以上のものが返ってくることは、とても多いのだ。
それは、目先の31万円などより、はるかに大きな利益となる。
こうして考えると、ブログにベタベタと鬱陶しい広告を貼り付けて
アフィリで小銭を稼ぐことは、ブログを使った利益の生み出し方としては、
それほど効率の良いものでないことがよく分かる。
むしろ、広告を一切貼らないでおくことで記事を読みやすくし、
一人でも多くの人に記事を読んでもらうようにした方が、
トータルでは、「はるかに効率よく儲かる」のではないだろうか。